金銭の発生する契約の多くに収入印紙を添付する必要があります。業務委託契約も例外ではありません。業務委託契約は委任契約や請負契約などがありますが、はたして全ての契約に対して印紙が必要になってくるのでしょうか?
目次
業務委託契約書の収入印紙の役割は?
収入印紙は契約の有用性を示す
契約を締結する際の書類や高額な商品を購入した際の領収書などには印紙税がかかる場合があり、その際収入印紙というものを貼り付けなくてはいけません。
収入印紙とは税金を納めましたと証明するものです。不動産を譲渡する際の契約書や会社を設立する際の定款などさまざまな場面で必要になってきます。
業務委託契約書は内容により課税文書になる
課税文書とは印紙税法によって、収入印紙を添付する必要があるとされた文書のことです。業務委託契約書はその内容によって課税対象になったり、ならなかったりします。
業務委託契約のうち請負契約は課税され、委任契約は課税されません。請負契約の課税額は契約書に報酬が記載されているときと記載されていない場合によってかわってきます。
課税文書の定義
国税庁によると、課税文書の定義は
- 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること
- 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
- 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと
国税庁HP(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7100.htm)
とされています。つまり課税文書は作成した文章がどのような種類のものであるかではなく、どのような内容が書かれているかによって決まってきます。作成した文書が課税文書かどうか判断しかねるときは税務署などに相談しましょう。
印紙の金額は契約内容により異なる?
金額記載のない請負契約書は200円
業務委託の場合印紙税がかかるのは請負契約です。契約書に金額が記載されていない場合は1通につき200円の印紙税がかかります。ただし契約期間が3ヶ月を超える場合は7号文書となり4000円の印紙税がかかります。
業務委託契約を結ぶ際は、通常事前に相談しあってから見積もり額や納期などを決定していくことが多いです。相談してお互いの意見が合意した時点で契約に入っていきます。
金額別の印紙税額は課税物件表に記載
請負契約で報酬が記載されている場合、金額ごとに課税額が変わってきます。
100万円以下・・・200円
100万円より多く200万円以下・・・400円
200万円より多く300万円以下・・・1,000円
300万円より多く500万円以下・・・2,000円
500万円より多く1,000円以下・・・1万円
1,000万円より多く5,000万円以下・・・2万円
5,000万円より多く1億円以下・・・6万円
1億円より多く5億円以下・・・10万円
5億円より多く10億円以下・・・20万円
10億円より多く50億円以下・・・40万円
50億円より多い・・・60万円
国税庁HP(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7102.htm)
委任契約には印紙は不要
委任契約及び準委任契約は印紙が必要ありません。理由は、請負契約と違い成果物を問わないからです。課税文書は成果物を問わない契約書を含みません。
また委任契約と似たもので派遣契約があります。こちらは業務委託契約ではないため派遣契約書という書類を作成して契約を結びます。派遣契約書も課税文書に該当しないので印紙を貼る必要がありません。
継続的取引の基本となる契約書は7号
請負契約で金額が明示されているものが2号、請負契約で金額が明示されておらず、契約期間が3ヶ月を超えるものは7号になります。文書が何号に該当するかによって印紙税が変わってきます。また、7号文書には更新を必要とする契約や、期限が定められていない契約などを含みます。
印紙の割印と消印の方法とは?
割印は書類にまたがるよう押す
契約書などの重要な書類を作成した場合、割印を押さなくてはなりません。理由は契約書の改ざんを防ぐためです。
もし割印がなければ契約内容を一方が簡単に変更できてしまいます。割印は書類と書類がまたがるように押します。サインなどでも簡単なものでなければ代用可能です。
消印は印紙と契約書がまたがる場所
印紙を貼り付けたら印鑑を押す必要があります。収入印紙の再利用を防ぐためです。再利用を防ぐためには印紙だけに印鑑を押しても意味が無いので該当する書類と印紙を跨ぐように印鑑を押します。書類と印紙を跨るように印鑑を押すことを消印といいます。
消印を忘れると追徴の可能性
消印を忘れてしまうとその事実が発覚した際、貼られている収入印紙の額面と同じだけ追加で徴収される場合があります。
通常収入印紙代は経費として計上することが可能ですが、追徴された場合は経費として計上できないため消印は忘れないようにしましょう。
消印は納税義務がある委託者だけで可
契約を交わす際には必ず委託者と受託者が存在します。もし契約に収入印紙が必要となるとき、消印は委託者のみでよいです。
印は必ず契約をかわした委任者のものであると分かるものでなくてはならず、単に「印」などの印鑑は効力を持ちません。印がなければサインでも代用可能です。
まとめ
業務委託の場合、基本的には請負契約が印紙を必要とすると頭においておけば問題ないでしょう。しかし委任契約でも内容によっては課税文書に該当することがあります。もし契約書を作成する段階で課税文書に該当するのかどうか分からない場合は専門科に相談した方が今後の書類作成もスムーズに行なえるでしょう。