キャズムとは?言葉の意味や成功事例・失敗事例を紹介!

「キャズムを超える」という言い方を聞いたことがあっても、その正しい意味や使い方はよくわからないという方もいることでしょう。今回の記事ではキャズムという言葉を使いこなせるように、言葉の意味や、キャズムを超えた事例、越えられなかった事例を詳しくご紹介します。

キャズム理論とは?


キャズムという言葉はマーケティング分野、特に新製品について議論する場で頻繁に利用される用語で、「キャズムを超える」という言い回しをします。最初に、キャズムという言葉の意味を詳しく見てみましょう。

英語の意味は「溝」

キャズムは英語で「Chasm」と書き、「溝」や「幅の広く深い割れ目」という意味がある単語です。「キャズムを超える」を日本語に置き換えるなら、「大きな溝を飛び越える」というような意味になります。

マーケティング理論のひとつ

キャズムの言葉の意味はわかりましたが、マーケティング用語としての「キャズム」にはさらに特定の意味があります。キャズムは、初期の小さな市場と、次の大きな市場の間にある深い溝を意味しており、この溝を超えると世間に受け入れられることになります。この理論を理解するためにはイノベーター理論を知る必要がありますので、次で詳しく見てみましょう。

イノベーター理論とは?


キャズムは英語で「溝」を意味する言葉で、マーケティング用語としては、初期市場と次の大きな市場の間の溝を意味することを先に紹介しました。ここでは、マーケティング用語としてのキャズムをより詳しく理解するために、「イノベーター理論」について学びましょう。

消費者の行動を5つに分類したもの

イノベーター理論は、新商品を購入する際の消費者の行動を分類したもので、イノベーター(革新者)からラガード(遅滞層)の5つに消費者を分けています。イノベーターは全体の革新者で、新商品を進んで採用する人たちのことです。全体の2.5%を占めています。イノベーターの次に新商品を購入するのは、流行に敏感で情報収集を進んで行い、自ら判断をするアーリーアダプターで、全体の13.5%です。

アーリーマジョリティは比較的慎重な人ですが、平均よりも早く新商品を購入する傾向があり、市場の34%を占めています。比較的懐疑的で、周囲の大多数が商品を購入してから購買を決定するのがレイトマジョリティで、市場の34%を占めています。最後に新商品を購入するのがラガードで、流行や世の中の動きに関心がなく、新商品が伝統になるまで購入をしない最後の16%の人々を指します。

アーリーアダプターの後ろのキャズム

アメリカのマーケティング・コンサルタントのジェフリー・A・ムーアは、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に「容易に超えられない大きな溝」があることを発見しました。この溝のことをマーケティング用語では、英語をそのまま採用して「キャズム」と呼んでいます。

この溝を超えられないと新商品は大衆には売れ入れられないまま市場から消えていきます。逆に言うと、「キャズムを超えた」商品は大衆に受け入れられ、市場から容易には消えなくなります。

キャズムの壁を超えた成功事例は?


ここまではキャズムの意味を見てきましたが、実際にキャズムを超えて大衆に受け入れられた商品にはどのようなものがあるのでしようか。ここでは、2つのマーケティング手法でキャズムを超えた商品をご紹介します。

#RunForキャンペーン

2014年にアメリカで開催されたピッツバーグ・マラソンでは、参加予定のランナーがInstagramやTwitterなどのソーシャルメディアに動画や写真を投稿して話題沸騰となりました。#RunForを用いて拡散した#RunForキャンペーンの185件のコンテンツは、70万人の人々にリーチしています。

これはDICK’Sがスポーツや健康に熱心なインフルエンサーを利用してソーシャルメディアに投稿を行うことで、アーリーマジョリティへのリーチを行った事例です。結果として、#RunForキャンペーンは最終的に560万人のユーザーに取り上げられるまでになり、キャズムを超えることができました。

ネスカフェアンバサダー

#RunForはインフルエンサーを利用したマーケティング手法でしたが、自社商品をおすすめしてくれるアンバサダー(大使)を利用したマーケティング手法もあります。このマーケティング手法でキャズムを超えた商品がネスカフェアンバサダーです。

テレビCMでもおなじみのネスカフェアンバサダーは、応募すると抽選でバリスタをオフィスに無料提供してもらえるという仕組みでした。結果として10万人以上のアンバサダーの登録があり、アンバサダーは対面での口コミやソーシャルメディアでネスカフェの宣伝をするため、コーヒーのシェアを高めるという目的が達成できたのです。

キャズムの失敗事例とは?


ここまではキャズムを超えた例を紹介しましたが、逆にキャズムを超えられなかったものにはどのような商品があるのか詳しく見てみましょう。

国内メーカーの電子書籍端末撤退

日本国内の電子書籍メーカーは2003年頃から端末の製造販売を行っていましたが、2007年から2008年にかけて続けざまに撤退しました。書籍の数が増えなかったことや端末の価格が高かったこと、さらに国内では携帯電話向けの電子書籍市場が確立されて、専用端末の居場所がなくなったことが敗因に挙げられます。

逆に電子書籍端末が定着したのはアメリカで、大手オンライン通販会社が安価で販売した電子書籍端末の売れ行きは、文化の違いもあり、現在でも好調です。

キャズムを学ぶのに有用な本は?

キャズムについて詳しく知りたいという方には次の本で学ぶことをおすすめします。

『キャズム』ジェフリー・ムーア

「キャズム」を発見したジェフリー・ムーアの1991年の著作で、キャズムについて詳しく書かれている書籍です。興味深い例をいくつも引用しているので、読み物としても面白く、キャズムについて学ぶことができます。

『イノベーションの普及』エベレット・ロジャーズ

キャズムについて詳しく論じている本ではありませんが、キャズムを理解する前提としてこの記事でも紹介したイノベーター理論について詳しく書かれています。物事が流行する経緯について体系立てて学べるので、キャズムに対する理解も深めることができる一冊です。

まとめ

キャズムとは、新商品などの初期市場からメインストリーム市場への移行を阻害す大きな溝のことを言います。今回の記事ではキャズムの基礎であるイノベーター理論を紹介し、キャズムを超えた商品や、超えられなかった商品もご紹介しました。キャズムに関する理解を深めたい方は、ご紹介した参考図書をぜひご一読ください。

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