「伝える」の正しい謙譲語は?敬語・類語の使い方付き

  • 2017-9-6

みなさんはお客様や取引先から自社の社員へ伝言を頼まれた際、伝言を「伝えておく」という旨をどのような表現を使って話しますか?「かしこまりました、〇〇へお伝えしておきます」というように、「お伝えします」を使っていませんか?実は、その「お伝えします」は、正しい謙譲語ではありません。それでは正しい表現をみていきましょう。

謙譲語で「お伝えします」は誤り?!

まずは敬語の分類について見てみよう

敬語は、「尊敬語・謙譲語・丁寧語」の3種類に分類されるのが一般的です。しかし実は、「謙譲語」は「謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱ(丁重語)」、「丁寧語」は「丁寧語と美化語」とさらに分類されているのです。
つまり敬語は、「尊敬語・謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱ(丁重語)・丁寧語・美化語」の5種類に分類されているのです。

謙譲語とは

謙譲語は、「自分から相手または第三者に向かう行為や物事などについて、行為の向かう先の人物を立てて述べる」ときに使います。この場合の主語は自分で、自分がへりくだって相手に敬意を示す言い回しとなります。さらに、謙譲語Ⅰは、「行為や物事の向かう先」、謙譲語Ⅱ(丁重語)は、「相手」に対する敬語であり性質が違います。

ポイントは「うち」と「そと」

「お伝えします」は謙譲語Ⅰにあたります。謙譲語Ⅰは、「自分から相手または第三者に向かう行為や物事において、その向かう先の人物を立てて述べる」ときに使います。つまり、「行為や物事が向かう先の人物」は自分より目上の人ということになります。
そこでたとえば、お客様や取引先から自社の社員へ伝言を頼まれた際には、自分が自社の社員へ伝えるため「自社の社員」が「行為や物事の向かう人物」となります。この人物が社長や上司であれば一見すると正しいように思えますが、誤りです。自分にとっては目上の人の社長や上司でであっても、会社の外の人であるお客様や取引先に対して、目上の人であるということは伝えなくてよい情報です。会社の「うち」と「そと」の使い分けがポイントになるのです。

正しい謙譲語は「申し伝えます」

正しい謙譲語は「申し伝えます」

「申し伝えます」は謙譲語Ⅱ(丁重語)にあたります。謙譲語Ⅱ(丁重語)は「自分側の行為や物事などを、相手に対して丁重に述べる」ときに使います。
お客様や取引先から自社の社員へ伝言を頼まれた際には、自分が自社の社員へ伝えるという自分側の行為を、お客様や取引先の相手に対して丁重に述べることになるので、正しい謙譲語は「申し伝えます」となるわけです。

実際に使ってみよう

「お客様から上司へ伝言を頼まれたとき」
〇「〇〇(上司)へ~~~と申し伝えます」
✕「〇〇(上司)へ~~~とお伝えします」
「お伝えする」は謙譲語Ⅰなので、謙譲語Ⅱ(丁重語)の「申し伝える」が正解です。

「伝える」を尊敬語や丁寧語にすると

尊敬語にすると「お伝えになる」

尊敬語は、「相手を立てて述べる」ときに使います。この場合、主語は相手であり、相手の動作や存在を高める言い回しとなります。

目上の人から自分に対して伝える場合は、「お伝えになる」から「お伝えくださる」へ、目上の人から第三者に対して伝える場合は、「お伝えになる」から「お伝えなさる」へと変換して使います。

丁寧語にすると「伝えます」

丁寧語は、「相手に対して丁寧に述べる」ときに使います。代表的なものでいえば「です・ます」があります。「伝える」は、「伝えます」となります。丁寧語は、謙譲語Ⅱ(丁重語)に似ているので注意しましょう。違いは用いることができる範囲にあります。謙譲語Ⅱ(丁重語)は基本的に「自分」のことを述べる場合に使いますが、「相手」や「立てるべき人物の行為」については用いません。それに対し、丁寧語は「自分」のことに限らず広くさまざまな内容を述べるのに用いることができます。

「お申し伝えください」もおかしな表現


「お伝えします」と並んで間違いやすい「お申し伝えください」。お客様や取引先へ伝言をお願いするとき、「〇〇さんにお申し伝えください」という表現を使っていませんか?実は「お申し伝えください」も正しい表現ではありません。

ポイントは「誰が伝えるか」

「申す」は、「言う」を改まって丁寧に述べる丁寧語です。この場合にも、謙譲の気持ちが残っているので、敬うべき人、つまり目上の人の動作に対して用いません。上記のようにお客様や取引先へ伝言をお願いしたとき、伝言を「伝える」という行為は、お客様や取引先の行為です。したがって、お客様や取引先など目上の人がする動作(行為)に対して「申す」という表現を使うことは誤りです。

どう頼めばいいの?

お客様や取引先へ伝言をお願いしたい場合は、尊敬語である「お伝えください」や「おっしゃってください」を用います。「ご伝言ください」でも構いません。

実際に使ってみよう

「取引先の〇〇さんに伝言をお願いするとき」
〇「〇〇さんに~~~とお伝えください」
「〇〇さんに~~~とおっしゃってください」
「〇〇さんに~~~とご伝言ください」
✕「〇〇さんに~~~とお申し伝えください」
お客様や取引先へ伝言をお願いするとき、「伝える」ことは相手の行為であるため、「お申し伝えください」ではなく、「お伝えください」、「おっしゃってください」、「ご伝言ください」という表現を使うのが正解です。

まとめ

いかがでしたか?この記事で紹介したように、敬語は状況や立場などによって使い分けが必要です。敬語は社会人として必要不可欠なスキルであるため、誤った使い方をしないようにしましょう。正しいと思い使い続けることで、相手に違和感を与えているかもしれません。この機会に自分が使っている敬語を見直してみましょう。

ページ上部へ戻る