【徹底解説】編集者とは?仕事内容や年収、向いている人

昨年TBS系で放送されたテレビドラマ「重版出来!」でも注目を浴びた“編集者”。就職先としても人気が高い職業ですが、編集者と言っても様々です。 一般的には、雑誌や書籍、マンガ、フリーペーパー、企業の広報誌など紙の本の内容をまとめる人、というイメージがあるでしょう。

最近ではWebマガジンやポータルサイト、まとめサイトのWEB管理人も編集者の一つと言ってもいいのではないでしょうか。 その仕事内容はここにあげたものだけでも全く違います。

そこで、編集から広告、営業まで出版社の業務を30年以上体験してきた筆者が、本気で編集者になってみたいと思っている人の何かのお役に立てればと、どんな人が編集者として活躍しているかをちょっとだけお話しさせていただきます。

編集者は、作者の言葉をわかりやすくして人に届ける仕事


編集者の仕事には色々とありますが、ただ一つ共通して言えることは、何かを伝えようとしている「人の思い」を言葉に変えて、それを必要としている人に届ける。そんな仕事です。そして、作者の言葉を読み手(Web閲覧者も含みます)の誰もがわかるように表現する手伝いをすることです。

よく勘違いされがちなのは、編集者と作者の混同です。作品を作っているのは作者で、編集者はそれを世の中に出すお手伝いをしているということです。一番わかりやすいのが漫画。漫画を書いているのは漫画家で、その作品をコミック誌などに掲載して読者に伝えているのが編集者です。ただ、誤解していただきないのが、「なんだ、編集者は人のものをただ載せる手伝いをしているだけなのか」ということです。

はっきり言いましょう。違います。例えば、漫画や文学作品などは、作者が自分の思いを「がっつり」出してきます。ただ、編集者=本を売って生計を立てている出版人(出版社の会社の一員)としては、そのままでは売れない作品も出てきます。売れなければ、会社の業績が落ちて、最悪倒産ということも出版業界では珍しくありません。

私が出版社に入社して、初めに社長から言われたのは、「お前の好みで(自己満足)でこの作品を世に出したいのなら自分の費用で自費出版でもしろ!」、「ただ、それを売れるようにする=いろんな人に好きになってもらうのが編集者なのだ」と。これが編集者の仕事の原点なのです。それでは次に、出版物(媒体とも呼びます)別におおよその仕事の流れを紹介していきましょう。

【雑誌の編集】新しいことにチャレンジするアクティブ思考が大切

雑誌には月刊誌や週刊誌、臨時増刊号などがありますが、仕事はどれもほぼ同じ流れです。 まず、自分で企画内容を立案する、編集会議で企画を選定する(合議制というよりも編集長が決めることが多い)。
そして、決まった企画に対して誰が担当するのかを決めます。おおよそ企画を立案した人が担当になりますが、企画内容によっては、ページに合わせて担当を決めることもあります。

企画が決まったら、掲載ページ数に合わせて、ラフ案を考えます。今回の企画で何を伝えたいか、それにはどんな記事と写真が必要で、どんな人に取材すれば読者が興味を持ってくれるかを具体的にしておきます。その際に、企画で使える予算なども決まります。取材を行うのなら記事を執筆してくれる筆者(ライター)、必要であればカメラマンを決め、実際の取材という流れです。

取材に関しては、編集者が行うこともあれば、丸ごとライターに任せることもあります。またインタビューだけインタビュアーに任せてそれを編集者が代筆するというケースもあります。写真に関しても同様で、カメラマンに依頼するだけでなく、編集者が自分で撮影することもあります。
実際の取材の流れについては、その都度のケースが多すぎるので、編集者になってから、その編集部のやり方で覚えてください。
ただ、どんな雑誌の編集者にとっても必要なのは、この内容なら何文字くらい必要か、写真のカットはどのくらい使えそうかを掲載することまで考えて色々なパターンを取材時までに綿密に組み立てておくことです。

取材が終わると次からは、実物の本(雑誌)作りです。最近では紙の媒体向けに取材した内容をWebで後悔することも多くなっていますので、両方で掲載できる柔軟性も求められてきています。

雑誌に限らず紙の媒体では、掲載するページ数に合わせて考えたラフのレイアウト案をデザイナー(レイアウター)に発注するための素材を集めます。
ライターには最終的な文字数を決めて伝え、カメラマンには使えるカットを予備も含めて多めに用意してもらいます。
現在はDTP(デスクトップ・パブリッシング)ソフトで制作していることが一般的で、アドビの「InDesgin」(インデザイン)というソフトのシェア率が高いですね。

「Photoshop」、「Illustrator」は、写真データ、図版データ、ロゴマークなどの素材を作るために使いますが、本の制作には使いません。出版物は同じフォーマットのページを多く作らなければならないため、「Photoshop」、「Illustrator」のように1ページずつのデザインを重視するというよりも、企画全体でのバランスが大切です。「InDesgin」はそうした複数ページのデザインがしやすいことと、文字と文字の間や行間などの文字の処理が非常にしやすいのです。まぁ、出版以外の用途では使い道がないソフトでもありますが。
そして、ページデザインが出来上がったら、それに文字や写真を入れていきます。

雑誌の場合、重要なのは文字数と写真です。
作家やライターがどんなに素晴らしい文章を仕上げてきても、極端な話、1ページ内に800文字と言われたら、801文字は入りません。1文字飛び出てしまいます(本当のところはソフトでその辺は調整できますが)。

逆に750文字だと変な空白が出来上がって見栄えもよくありません。それを白地の美学だと言い張ったり、写真を追加してごまかす編集者や多かったですが、デザイナーが作ったデザインが崩れて「やっぱりブサイクだな」となることが多いですね。
それと、大切なことは、上がってきた原稿をそのまま載せるのではなく、言葉使いも含めて、もっとわかりやすくならないか推敲します。もちろん決められた文字数でそれを考えていきます。これが編集作業の一番大変で面白い部分です。
写真も、上がってきた文章を読むと別のカットを使った方がわかりやすいとか、こちらを大きくした方が良くなるなんていうこともあります。 雑誌は生き物なので、取材した時点に決めたことが絶対ではなく、よりいいものを作る臨機応変さも必要です。 このように、雑誌編集者は常に新しい情報にアンテナを立てて、常にいいものを作るという意識が重要になります。

そして最後は印刷所に原稿類を渡して校正が出るのを待ちます。
この段階の構成では印刷される寸前のページ組の状態で印刷されたものが出力され、写真の入れ間違いや文字の再校正を編集者が行い、何度か印刷所とやり取りを行い、全てのページの校正が終わると印刷/製本されて完成します。

【書籍の編集】物事を探求するのが好きな人にピッタリ

書籍の編集者は、文芸作品と実務書などによっても異なります。
文学作品の場合、まず重要なのは作家との信頼関係作りでしょう。そして、作家がいかに作品作りをスムーズに行えるかを第一に考えます。アプローチは異なりますが、漫画に関しても考え方は同じ方向ですね。

そして、作家とどんな作品のテーマにしたいのか、打ち合わせを行います。作家と一緒に悩むことになるのですが、作品のアイディアのヒントになるためにも、新しい情報に常に関心を持つことが大切です。ただ、ここでの新しい情報とは、最新のトレンドという意味ではなく、事実は古い事柄でも新しく発見された説であったり、新しい解釈だったりといった新事実的なものも含まれます。これが、作家にヒントを浮かばせたり、次のテーマになったりすることもあるのです。

次に、いつ出版するのか、そのためには締め切りをどのように設定するのかなど、出版社としてのスケジュールを作家とコミュニケーションをとりながら調整していきます。テーマが決まったら、作品作りの背景になる資料や情報を揃えたり、実際に作品で登場する場所に作家と取材に行くこともあります。とにかく作家の魅力をいかに引き出すかが編集者の最大の仕事になります。

作品が出来上がった後は、誤字脱字や、作品に出てくるシチュエーションなどの事実確認を行います。大きな出版社であれば「校閲部」という専門部署や専門の会社があるので、そこに校閲を依頼します。そして雑誌と同じようにデザインを発注して、印刷所に入稿します。 実務書であれば、本のジャンルにあった専門家を探して原稿を依頼することが基本です。ですので、いかに多くの人と出会っておくかも編集者には必要な仕事の一つと言えるでしょう。

そうした意味では、技術的な知識や製品のマニュアルにたずさわっていた人は、依頼する前におおよそのページ数や図版なども想定できるので、編集者兼内容チェッカーの技術職として募集している会社もあります。ロジカルに考えることが得意な人は実務書の編集者に向いているかもしれません。
実際の本の制作過程は、上記の雑誌や書籍と同様の流れです。

【漫画の編集者】作家と二人三脚で作品を生み出す。

漫画の編集者は文芸作品の編集者と似たところがあるかもしれません。筆者は漫画にはたずさわったことがないので、他の部署の編集者の話ですが、とにかく作家とのコミュニケーションをどうするか重要のようです。それと、漫画は週刊誌や月刊誌が多いのでスケジュールの管理が大変になります。

作家一人で全て最後まで行う漫画家もいらっしゃいますが、多くの漫画家はアシスタントを使うことが多く、新人の頃はそうしたスタッフの紹介や原稿の進行など作家とつきっきりということも少なくないです。まるで少年ジャンプで連載されていた「バクマン」の世界ですね。

「出版社に入社=編集者になれる」わけではない。

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【大手出版社は大卒を採用条件にする会社が多い】

編集者になるためには、当たり前ですが出版社に入社しなければなりません。大手の出版社は一般の企業と同じように募集時期が決まっていて、入社試験を受けることになります。書類選考の後に筆記試験を実施している会社が多く、筆記試験に合格すると面接という流れになるでしょう。筆記試験では国語が重要になることはもちろんですが、外国語少なくとも英語は必須になってきています。応募条件は4年制大学が条件のところが多く、中途入社でも条件は同じです。

また、大手出版社の場合は、編集者になりたくても営業や経理、総務など様々な部署があります。つまり入社イコール編集者ではないことを念頭においてください。中小の出版社や編集プロダクションの場合、初めから編集者募集ということが少なくありません。特に専門書や雑誌が中心の出版社では、できるだけ即戦力となる人材が求められており、中途入社もかなり多いい職場です。学歴も基本は4年制大学ですが、筆者のいた編集部では、専門学校卒や大学時代に編集部にアルバイトとして勤務していてそのまま正規の編集者になった人も少なくありません。

編集者募集という枠で応募した場合、よほど適性が合わない以外は、入社イコール編集者になる場合が多いですね。試験に関しては、もちろん筆記試験が重要にはなりますが、その雑誌が求めている専門の特技がアドバンテージになる確率は高いと言えるでしょう。

編集者の年収は大手以外は国の発表する平均年収程度


これは、一般の会社と同じで、会社の規模や年齢で全く異なるので、一概には言えないでしょう。大手出版社の場合、中小企業の上の会社の平均と同じくらいではないでしょうか。

中小の出版社になると年収は国の発表している平均年収程度です。ただ、編集という仕事は、取材対象があって初めて仕事になるわけで、特に専門誌の場合などは取材対象のお休みが土・日・祝ではないこともあり、音楽雑誌などではライブの取材は夜の7時からとか、インタビューは日曜の夕方ならOKなんていうこともあるわけです。そのため、残業手当や休日手当が出るか出ないかで年収も大きく変わります。

筆者の経験では、年収がやっと2,000,000円という人もいれば、残業手当などが満額出て新人でも3,000,000という人もいました。大手の出版社ならば、入社数年程度でも4,000,000円以上という人もいました。

高給取りになりたくて編集者を目指すということならば編集者はやめておきなさいとアドバイスします。編集者とは好きでないとできない仕事です。プライベートな時間は少なく給料も安い、でも好きだからやっているという人が多い業界です。そうでない人は、ほとんどが入社してすぐに辞めていきます。筆者の経験では、最短で1日でこなくなった人もいました。

未経験でも編集者になれるのか


「未経験から編集者になれるか」ですが、なれるかどうかと言われれば「なれます!」ただ、転職でとなるとかなりハードルが高くなります。この業界はとにかく人材募集が少ないのです。大手でも年間で10数人程度、中小だと年に一人か二人といったところでしょう。

その上、募集告知は自社の発行物(雑誌やWeb)で行うことも多く、読者や会社のWebサイトで募集を行ったり、人と人のつながりの中で採用することも少なくありません。中途入社の場合は、経験者が優遇されることは、他の業種と一緒です。

とはいうものの、未経験でも採用されるチャンスがあるのが、雑誌とWeb媒体、そして編集プロダクションでしょう。雑誌とWeb媒体は、どちらも新しい媒体を作る可能性が一番高く、新しい雑誌を作る上で、対象となるジャンルのことをよく知っていて、わかりやすく人に伝えられる人を常に求めています。技術的な専門雑誌やWeb媒体、編集プロダクションなどでは人員不足のことが多いくらいです。

もちろんのこと、文章力はあったに越したことはありませんが、文章力は後から磨くことができます。でも、人にわかりやすく物事を伝える能力は、そんなに簡単には身に付きません。もし面接を受けることになったら、質問にすぐに答えなくていいので、一度質問を頭で理解して、どうしたらこの人に伝わるだろうかという言葉に最大限に気をつけて挑んでください。

まとめ

最後になりますが、編集者は肉体的にも精神的にもきつい仕事です、でもハマるとこんなに面白い仕事はありません。いろんな人と出会えてその思いを知ることができるなんて、こんなに面白いことはありません。新人が大企業の社長にだって、世界的なビッグネームにだって出会えるかもしれません。さらにその人たちの思いを形にしていろんな人に見てもらえるのです。

言葉が好きな人、一つのことを別の角度から見ることができて、朝令暮改に対応できる臨機応変さとタフな精神力を持っている人ならば、編集者の道に進んでもやっていけると思います。

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