個人事業主が源泉徴収する義務を負う条件と必要な手続き

  • 2017-12-7

個人事業主やフリーランスでも、状況によっては、源泉徴収をしなければならない可能性があります。具体的に、どのような場合に源泉徴収義務を負うのか、そうなった場合に行なうべき手続きも含めて紹介していきましょう。

個人事業主に源泉徴収義務が生じる条件


源泉徴収とは、給料や報酬を支払う法人および個人が、あらかじめ受け取り側が負担すべき所得税などを差し引いて、給与等を支払う仕組みです。この場合、源泉徴収する側のことを「源泉徴収義務者」と呼びます。

代表的な例として、多数の従業員を雇用する会社の場合を考えてみましょう。この会社は、源泉徴収義務者であるため、源泉徴収によって本来従業員が負担すべき所得税を差し引いた金額を、給与として支給するのが通例です。会社という形態をとる法人だけでなく、フリーランスとして働く個人事業主であっても、一定の条件を満たす場合には、源泉徴収義務者となります。具体的には、以下のいずれかに該当する場合です。

源泉徴収義務者となる条件

人を雇用し、給与を支払っている(パート・アルバイトを含む)

ただし、雇用者が常時2人以下のお手伝いさん(家事使用人)だけの場合は対象外。

  • 青色申告をしている個人事業主で、家族従業員(青色事業専従者)に対して「専従者給与」を支払っている。
  • 給与の支払いがある個人事業主で、かつ、源泉徴収の必要がある料金・報酬等の支払いがある。例えば、税理士・弁護士・公認会計士への支払い報酬や原稿執筆料など。

源泉徴収する個人事業主がすべきこと


個人事業主が源泉徴収義務を負った場合、どのような手続きをすべきか説明します。

給与関係

事前準備

年初の給与支給日の前日までに、従業員等から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を受領します。本申告書により、各従業員の扶養状況を把握し、源泉徴収税額を決定。その際、「給与所得の源泉徴収税額表」を参照しましょう。

源泉所得税の徴収

従業員等への給与の支払い時には、源泉所得税を天引きし預り金とします。

源泉所得税の納付

給与支給日の翌月10日までに、納付書とともに源泉所得税を税務署等で納付します。なお、給与を支給する従業員等の人数が、常時10人未満であれば、半年ごとの納付も可能です。その際、事前に税務署へ「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する必要があります。

報酬・料金関係

源泉所得税を控除した代金の支払い

支払うべき報酬や料金から、源泉所得税分を差し引きした金額を相手側に支払います。例えば、税理士等への報酬額より控除すべき源泉所得税分の計算式は以下のとおり。

・100万円以下の場合→支払額×10.21%
・100万円超の場合→(支払額-100万円)×20.42%+10.21万円

源泉徴収税額表の使い方を解説


源泉徴収義務者となった個人事業主が、従業員等へ給与や賞与を支払った場合の源泉徴収税額の算定に際し、参照すべき表が「源泉徴収税額表」(以下、「税額表」)です。この税額表は、毎年変更されるため、国税庁のホームページで最新情報を確認する必要があります。(下記※参照)
税額表の使い方について、ポイントを解説していきましょう。

ポイント1:月額表と日額表を使い分ける

給与の支払い方法によって、月額表と日額表のいずれかを選びます。例えば、毎月または半月ごとに給与を支払っている場合には月額表、週ごとや日割りで給与を支払う場合は日額表を使用します。

ポイント2:税額表の「甲」の欄または「乙」の欄を確認

給与を支払う従業員のうち、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出がある場合は、「甲」の欄を、同申告書の提出がない場合は、「乙」の欄を確認します。

ポイント3:「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」の欄と、甲欄または乙欄の交差する金額を確認

例えば、扶養家族が1名で、社会保険料等を差引したあとの月給(通勤費込み)が20万円の従業員の源泉徴収税額は、2018年の税額表で3,140円となります。

※2017年の「源泉徴収税額表」はこちらから入手可能

※2018年の「源泉徴収税額表」はこちらから入手可能

源泉徴収した場合の仕訳を解説


個人事業主が源泉徴収した場合、会計上ではどのような整理をすべきか、複式簿記による仕訳例を紹介していきましょう。

給与に関する仕訳例

・従業員に対して、月給20万円を支払い、源泉所得税3,140円を預かった場合の仕訳

(借方)給料 200,000円   (貸方)普通預金 196,860円
                   預り金   3,140円

支払い報酬・料金に関する仕訳例

・顧問税理士に対して、報酬額10万円を振り込みで支払った場合の仕訳
※控除すべき源泉徴収税額は、10万円×10.21%=10,210円

(借方)支払手数料 100,000円   (貸方)普通預金 89,790円
                      預り金  10,210円

源泉所得税の納付に関する仕訳例

・預かっていた源泉所得税5万円を税務署で納付した場合の仕訳

(借方)預り金 50,000円  (貸方)現金 50,000円

まとめ

源泉徴収することになった個人事業主は、各種支払いや会計処理、源泉所得税の納付に関する手続きをもれなく行なう必要があります。源泉徴収税額の計算は細かく規定されているうえ、時の経過に伴い税制も変更となるため、必要に応じて税理士など専門家に確認しておくと安心です。

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