フリーランスの健康保険はどうする?任意継続や健康保険料の計算方法

フリーランスになる場合、健康保険はどうなるのでしょうか?基本的には「新しく加入する方法」や「任意継続する方法」があります。それぞれの健康保険料の計算方法や、おすすめのポイントを紹介します。また、健康保険について考えたときにあわせて知っておきたい年金についても解説します。

フリーランスの健康保険の4つの選択肢

国民健康保険(国保)

国民健康保険とは、市区町村が運営する保険です。企業に勤めている人が加入する社会保険に対し、国民健康保険は自営業者、無職の高齢者などが対象となっています。略して国保(こくほ)とも呼ばれます。国民健康保険の特徴には以下の3つが挙げられます。

  • 前年の所得に応じて保険料が決まること
  • 自治体によって保険料が異なること
  • 扶養の概念がないこと

前年の所得によって保険料が決まるので、サラリーマンから独立してフリーランスになった場合や、昨年度の収入が多かった人は、保険料が高いと感じるかもしれません。具体的な保険料は市区町村によって異なります。年間数十万円の差になることもあるので、引っ越しを検討する場合には保険料もしっかり確認するようにしましょう。

国民健康保険には扶養という概念がないため、家庭を持っている方は負担が大きくなってしまいます。家族を扶養に入れることができるのは、社会保険の方です。

また、確定申告の際、国民健康保険料は、「事業主貸」という勘定項目になります。個人事業に特有の勘定科目なので、押さえておきましょう。

国民健康保険組合

国民健康保険には、市区町村が運営するもののほかに、「国民健康保険組合」が運営するものがあります。同じ職種や業種に従事している300人以上の人で構成されるもので、収入に関係なく保険料が固定されていることが多いです。国民健康保険は、前年度の収入によって保険料が決まるため、ある一定の額よりも収入が増えた場合、国民健康保険組合に切り替える方が保険料が安くなるためおすすめです。

会社の保険の任意継続

サラリーマンからフリーランスになる場合は、国民健康保険か会社の保険の任意継続かどちらかを選択することになります。保険給付の内容は同じですが、条件によって保険料が異なるため、どちらがお得なのか比較して選択しましょう。

任意継続は、以下の2つの条件を満たす場合加入できます。

  • 2か月以上社会保険に加入していたこと
  • 退職後20日以内に申請すること

加入期間は2年間と期限がある点に注意が必要です。任意継続では、今まで会社が負担していた分の保険料も自分で負担することになるため、支払額が2倍になります。

しかし、会社が加入している社会保険の特徴として、扶養という概念があります。家族がいる場合、家族を扶養に入れることができるので、家全体の保険料が大幅に安くなる場合あります。家族の人数によっては社会保険の任意継続がおすすめできます。

配偶者や親の健康保険の扶養

年収が130万円未満で、被保険者(配偶者や親など三親等以内)の年収の2分の1未満という条件を満たせば、自分自身が扶養に入るという選択肢もあります。フリーランスの場合年収130万円未満というのは、一般的に「経費を差し引いた額で130万円未満」となっていますが、一部の保険組合では経費を差し引くことが出来ない場合もあります。加入している保険組合に確認するようにして下さい。

「文芸美術国民健康保険組合」とは?


文芸、美術、写真、映画などに従事していて、組合加盟団体に入っている人とその家族が加入できる国民健康保険です。

フリーランスが加入できる国民健康保険組合

文芸美術国民健康保険組合は、芸術家やデザイナー、フリーのエンジニアなど、フリーランスの人が加入できる国民健康保険組合です。こういった職種の健康保険組合は数が少なく、現状は文芸美術国民健康保険組合がメインの組合になっています。

加入には加盟団体への加入が必須

文芸美術国民健康保険組合に加入する為には、加盟団体に加入する必要があります。例えばフリーランスのWEBデザイナーの場合、「協同組合日本イラストレーション協会(JILLA)」や「公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)」に入会することで加入できます。

「文芸美術国民健康保険組合」の保険料

保険料は収入に関わらず均等で、平成29年度の場合一人月額19,600円(医療分 16,000円 後期高齢者支援金分 3,600円)、家族月額10,300円(医療分6,700円 後期高齢者支援金分 3,600円)となっています。

加入条件を満たすなら保険料を比較して検討

該当する職業であること、団体に加入できることの条件を満たすなら、保険料を比較して加入を検討してみましょう。団体への会費が毎月かかりますので、それを合わせて計算することを忘れないようにして下さい。

国民健康保険と社会保険の違い


保険料の算出方法の違いと、傷病手当金や出産手当金など給付金の違いがあります。

傷病手当金や出産手当金がない

病気や怪我により仕事をすることができなくなった場合に受け取ることができる傷病手当金や、産前産後の産休時に受け取れる出産手当金は、社会保険でのみ受け取ることができます。国民健康保険では受け取ることができません。

また、社会保険の任意継続の場合も、傷病手当金や出産手当金は支給されません。ただし、社会保険に加入している時に怪我や病気、出産によって仕事を休んで、その途中で社会保険を脱退した場合には、継続給付を受け取ることができます。

健康保険料の計算方法が違う

【国民健康保険料】
国民健康保険の場合、所得や世帯の状況、加入者の年齢から保険料が決まります。前述した通り国民健康保険は市町村によって運営されるので、細かい部分は地域によって異なります。

基本的な計算方法を紹介します。国民保険料は、以下の式で成り立っています。

健康保険料 = 所得割額 + 均等割額

所得割額と均等割額を算出するために、基準額というものを計算します。

基準額 = 所得の合計(フリーランスの場合、確定申告書の「所得金額の合計」にあたる) – 33万円(基礎控除)

基準額を元に、所得割額と均等割額を算出します。

所得割額 = 基準額 – (医療分・支援金分・介護分など)
均等割額 = 1世帯当たりの加入者数 × (医療分・支援金分・介護分など)

基本的には、この所得割額と均等割額を足した数字が健康保険料となります。計算項目は市町村によって異なるので、自分の住んでいる地域のホームページなどで確認してください。

【社会保険料】
社会保険料は、年齢、基本給、保険会社が用意している等級から計算されます。基本的には、

社会保険料 = 報酬 × 保険会社ごとの等級 ÷ 2

となっています。等級の部分は保険会社によって異なります。「 ÷ 2」がついているのは、会社が半分の額を負担してくれるからです。また、報酬は以下の方法で算出します。

報酬 = 基本給 + 各種手当(通勤・残業など)

社会保険料の計算方法と基礎知識
給料から天引きされている社会保険料について、その内訳や計算方法を解説しています。どのような事業所・従業員が加入対象となれるのかも紹介しています。社会保険の任意継続を考えている方はぜひチェックしてみてください。

このように、国民健康保険と社会保険では保険料の計算方法が異なります。

フリーランスのその他の保険・年金


フリーランスにとって縁の深い国民健康保険について理解した後は、その他に助けとなる制度についても知っておきましょう。

所得補償保険や就労不能保険

病気や怪我、死亡、高度の障害などに備えて、「所得補償保険」や「就労不能保険」に加入するという選択肢もあります。

所得補償保険は、会社員や自営業で怪我や病気によって仕事ができなくなった場合に収入減を補う保険です。最大で税込年収の60%が補償され、毎月一定額を受け取ることが可能です。

また長期間就労不能の状態が続く場合の補償には「就労不能保険」があります。加入時に受け取る給付金を設定して、就業不能になった場合の収入をサポートします。

国民年金以外の年金

20歳以上の日本国民全員が加入する国民年金。受け取れる額は年度によって異なりますが、平成27年度のデータでは1ヶ月に65,000円程度とされています。企業に勤めている場合、その企業によりますが、厚生年金や企業年金を受給できます。

国民年金だけでは不安という方には、以下のような年金制度があります。

  • 付加年金
  • 国民年金基金
  • 確定拠出年金

詳しくは、下記の記事を参照してください。

フリーランスの年金事情
「付加年金」や「国民年金基金」、「確定拠出年金」など、国民年金しか支払っていないフリーランスが老後に備えるための制度を紹介しています。国民年金だけだとどのような状況が招かれるかもあわせて確認してください。

まとめ

フリーランスの健康保険について見てきました。収入の額や扶養家族の有無、また職種によって、加入できる保険や保険料は異なります。条件の合うものを比較して、自分と家族に合った保険を選びましょう。

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