不動産売却の譲渡税の計算方法とは?特別控除をチェック

所有不動産の売却時に案外忘れがちなのは得た所得に税金が課せられることです。売買契約が締結し安心したのも束の間、確定申告をしたらその税額の高さに驚き、資金繰りが狂ってしまうという可能性もあります。では、不動産譲渡にかかる税金とはどんなものか確認してみましょう。

不動産の譲渡税とは

不動産の売買による利益には譲渡所得税が課税される

不動産を譲渡した際にかかる税金には主に以下の3つがあります。

  • 印紙税
  • 譲渡所得税
  • 住民税

印紙税は売買契約のときに交わされる契約書に貼付します。契約した金額によって印紙の額は変わっていきますが、1千万~5千万円なら2万円。1億~5億円なら10万円などとなっています。

ただし平成30年3月31日までは軽減措置が取られており、金額は下げられていますので、国税庁のHPなどでご確認ください。また、2と3の譲渡所得税と住民税に関しては、利益がでなければ納める必要はありません。それを踏まえたうえでそれぞれを見ていくことにします。

不動産の譲渡税の計算方法

不動産譲渡所得は分離課税方式

不動産譲渡所得は分離課税方式です。つまり他に所得がある場合でもそれに合算することができない所得です。よってサラリーマンでも確定申告の必要があります。

また税額の計算も単純に「売却額×税率」というわけには行きません。譲渡所得の計算式は次に説明しますが、所得からいろいろと控除をすることができるので、しっかり処理をすれば、税額は減少します。「売却額×税率」だったらとんでもない税額になってしまうのでしっかり計算しましょう。

譲渡所得は譲渡所得 = 譲渡収入金額-(取得費+ 譲渡費用)

まず、譲渡収入金額には実際に売価として得られた収入のほかに、期中で売却した場合はそれ以降の固定資産税相当額も買主からもらえます。固定資産税相当額も収入に合算することになります。これは固定資産税の対象期間が1月1日~12月31日であり、1月1日にその年の分の固定資産税を支払うことになっているからです。売主が1年分の固定資産税を前払いしてくれていると考えれば分かり易いでしょう。

取得費とは何か

「取得費」は売主が不動産を購入したときの費用です。例えば物件を3千万円で購入し、5千万円で売却した場合は3千万円が取得費となるのです。但し取得費の中から減価償却費相当額は差し引いておかねばなりません。

例えば上記の物件のうち2千万円が土地で1千万円が建物だったとします。購入から売却まで数年間を経過したため1千万円だった建物の価値は8百万円まで落ちていました。このときに減少した2百万円が減価償却相当額です。土地は減価償却の対象にはなりません。

ゆえに「取得費=物件購入額-減価償却相当額」となります。「譲渡費用」は不動産仲介手数料や、土地などの測量費用などこの売却にかかった諸費用です。

課税譲渡所得は、課税譲渡所得=譲渡所得―特別控除額

譲渡所得の算式が理解できたところで次はここから課税譲渡所得を算出します。ここで取り上げるのが「特別控除額」ですが、これは特定の条件を満たせば譲渡所得から一定額を差し引くことができるというものです。税額を下げるために積極的に活用したいものです。

いくつか種類がありますので、代表的なものを後ほど説明します。

譲渡所得税=課税譲渡所得×譲渡所得税の税率

次にいよいよ税率を掛けて税額を算出してみましょう。算式は上記の通りです。実は税率は売却する不動産の所有期間で長期と短期に分けられており、短期のほうが税率が高くなっているのです。詳細は次項にて説明しますが、売却を考える際はこうしたことを勘案して行動するべきでしょう。

ちなみになぜここまで税率が違うかと言うと、バブル期の、異常なまでの地価高騰の背景に投機目的での不動産売却の横行があったためです。投機目的となると「買っては売り」の短期所有売買が必然的に増加しますので、その抑制を狙った法改正でした。

税率は所有期間によって、長期譲渡所得と短期譲渡所得で変わる

税率は売却する不動産を売主が何年所有していたかによって変わってきます。売主が不動産を売却した年の1月1日の時点で所有期間が5年以上の場合を「長期譲渡所得」、5年以下は「短期譲渡所得」と言い、それぞれの税率は下記の通りです。

  • 長期譲渡所得(所有期間5年超)・・・・20%(内訳:所得税15%+住民税5%)
  • 短期譲渡所得(所有期間5年以下)・・・39%(内訳:所得税30%+住民税9%)

※現在、復興特別所得税の税率2.1%が基準所得税額(譲渡所得×所得税率)に掛けられています。

不動産の譲渡税の特別控除とは

居住用財産の3千万円特別控除

上述したように、特定の条件を満たしたときに一定額を所得から控除できる制度(税率を軽減できる制度)が存在します。いくつかの制度を見ていくことにしましょう。まずは「3千万円の特別控除」と呼ばれるものです。

  • <条件1>売却する不動産は居住用であること
  • <条件2>居住用の不動産であっても実際居住しなくなった日から3年以内であること。

以上を満たすことで最高3千万円を譲渡所得から控除できます。

居住用財産の買い替え特例

所有していた不動産を売却し、新規に居住用の不動産を購入した場合、売却はなかったものとみなし、その時点では課税しない制度です。自宅を売却し、その収益で別に住居を購入する場合、自宅の売却時に課税されてしまうと、新居の購入価格は売却益より、税金分だけ低くならざるを得ません。

こうした事態を回避するための制度です。但しこれは課税の繰延べであり、減免ではありません。購入した新居を後に売却した時は課税となります。

  • <条件1>売却した不動産の保有期間が10年以上である。
  • <条件2>買い替える不動産の方が売却する不動産の売価より高い。
  • <条件3>特別控除や他の特例を受けていない。
  • その他。

  

居住用財産売却の軽減税率の特例

マイホーム(居住用財産)を売って、一定の要件を満たすとき、長期譲渡所得の税額を下記の通り、通常よりも低い税率になる軽減税率の特例を受けられます。

  • 課税長期譲渡所得金額(A)が6千万円以下・・・(A)×10%
  • 課税長期譲渡所得金額(A)が6千万円超・・・{(A)-6千万円}×15%+6百万円
  • <条件1>売った年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている。
  • <条件2>3千万円の特別控除以外の特例を受けていない。
  • その他。

特例はそれ以外にも「空き家に係る譲渡取得の特別控除」などがあります。

まとめ

このように不動産譲渡は少し複雑な課税ルールがあります。紹介しきれなかった制度もまだありますので、状況に応じて更にリサーチをしてみてください。とりわけ特例は使用もれのないようにしたいものです。税理士など専門家に訊くのが確実ですが、予備知識として持っていて損のない情報ですのでぜひ役立ててください。

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