「捺印」と「押印」の違いは?気になる敬語表現などもご紹介!

  • 2017-8-28

上司に印鑑(ハンコ)をもらいたいとき、「捺印」「押印」のどちらの言葉を使用していますか。なかには、「ハンコをお願いします」という一言で済まされるケースもあるかもしれませんが、正式には、「捺印」「押印」のいずれかを使うのがビジネスマナーです。両者の違いや関連知識をご紹介していきましょう。

「捺印」と「押印」の意味と使い分け


「捺印(なついん)」と「押印(おういん)」は、いずれもビジネス上で、印鑑(ハンコ)を押す行為を表す言葉として使われています。

実際、「押捺(おうなつ)」という言葉があるほどで、基本的に両者に大きな意味の違いはありません。しかしながら、言葉の成り立ちを知れば、より厳密に使い分けることができます。

捺印

もともと「署名捺印」という言葉が省略されてできた言葉です。したがって、「捺印」は、本来、自筆による記名(=署名)と印鑑を押す行為がセットとなった場合に使われる言葉だと理解しておきましょう。

押印

元となる言葉は、「記名押印」です。ここでいう「記名」とは、パソコンの文字やスタンプ、ゴム印などによって記された名前を意味します。したがって、「押印」という表現は、自筆以外の手段によって記されている名前や役職名に、印鑑を押すときに使用するのが一般的です。

ちなみに、「押捺(おうなつ)」は、印鑑を押すだけでなく、拇印(ぼいん)など指紋を押すという意味も含みますので、参考として覚えておきましょう。

「捺印」「押印」に関する敬語表現


ビジネスでは、上司や取引先の相手などに、捺印や押印をしてもらうよう依頼をする場合も考えられます。そのようなときに使う敬語表現について、確認しておきましょう。

例えば、自身が作成した契約書の原本に、契約相手の捺印・押印をお願いするようなシチュエーションを想定します。そのような場合、具体的な依頼文言として、以下のような敬語表現が一般的です。

<例文1> 契約書の○ページ目に、ご署名とご捺印をお願い申し上げます。
<例文2> 付箋を付しております箇所につき、ご担当者様の署名捺印をお願い申し上げます。
<例文3> 契約書の最後のページにあるお名前の横に、ご押印の上、ご返送くださいますようよろしくお願い申し上げます。
<例文4> 契約書に記名押印の上、月末までに弊社○○部宛てにご送付ください。

例文1や例文3のように、「ご捺印」「ご押印」というように、頭に「ご」をつけるだけで簡単に敬語表現に変わります。

しかしながら、丁寧すぎてまわりくどいと感じる場合には、例文2や例文4のように、文章全体のバランスを考えて「ご」を最低限にとどめることも可能です。

捺印・押印する場合の正式な位置は?


契約書をはじめ、各種ビジネス文書において、捺印および押印を求められた場合、具体的にどの位置にするのが正解か、確認しておきましょう。

まず、稟議書や決裁文書などで、捺印・押印する場所があらかじめ決められている場合には、所定の枠内に印鑑を押すだけで完了です。

通常、複数の役職者や担当者が押印する場合には、マス目は横長に並べて作成し、役職が高い人ほど左側に配置するのがビジネスルールとなっています。

一方、単なる捺印・押印だけではなく、署名および記名がセットとなっている場合には、印鑑を押す位置に関して注意が必要です。所定の欄に、自筆またはゴム印などで名前を記入したあと、名前の最後の文字に少しかかるように捺印・押印するのが一般的となっています。

なぜならば、印影が名前から離れた場所にあると、印影のコピーによって印鑑自体が不正に複製される危険性があるからです。

ただし、一方で、印鑑を押す場所が名前にかかり過ぎてしまうと、印影が見えなくなってしまい、ビジネス文書自体の有効性に影響を及ぼす可能性もあります。

したがって、捺印・押印する場所は、名前の最後の1文字が半分ほど重なる程度にとどめておきましょう。

捺印・押印に関連する「調印」の意味


「捺印」や「押印」に関連する言葉として、「調印」という表現もビジネス上で耳にすることがあります。たしかに、印鑑を押す行為を含むという点で、「調印」は、捺印や押印と似ています。

しかしながら、「調印」という言葉を使った場合には、以下の2点において、捺印・押印と異なることを認識しておきましょう。

1つ目は、「調印」では、印鑑を押すだけでなく、契約書類などに、当事者である会社の代表者等が、署名捺印または記名押印することを意味します。

2つ目として、「調印」は、比較的規模が大きい案件や契約の手続きをする場合に使われる言葉である点です。例えば、対象となる文書として、ビジネス協定や大型プロジェクトの契約書などが挙げられ、「調印式」といったセレモニー形式をとる場合もあります。したがって、日常的なビジネス文書を対象とする捺印・押印とは、明らかに対象が異なります。

上記2点を総合すると、「調印」は、捺印・押印と似て非なるものだと結論づけられます。したがって、使用するシチュエーションを見極めることが大切です。

まとめ

今まで何気なく使っていた捺印・押印という言葉にも、厳密にいえば、意味の違いがあることをご紹介しました。捺印・押印に関して、社会人として知っておくべき知識が整理できたところで、学んだ内容をさっそく実践に移してみましょう。

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