個人事業主から法人化するメリット・デメリットは?設立費用も紹介!

個人事業主として事業を行なっていると、法人化(法人成り)を考えることがあるかもしれません。法人化することのメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。また、設立にかかる費用はどの程度で、どのようなタイミングで法人化するのが良いのでしょうか。具体的な数字でみていきましょう。

法人化の意味とメリット7つ


まず始めに、「法人化」の意味とメリットについてご紹介します。法人化をすれば、年収が増えた個人事業主が高くなった税金を節税したり、社員が安心して働ける環境を作ったりできます。

一定の所得以上で税率が有利になる

個人事業主の所得に対する税率は、所得税として「累進税率」によって5%~45%の課税になっています。例えば、所得が195万円~330万円であれば10%ですが、330万円~695万円になると20%と、一気に倍になってしまいます。1,800万~4,000万まで所得が大きくなると、40%が所得税として徴収されます。4,000万を超えると45%となり、それ以上大きな税率になることはありません。

法人の所得に対する税率は、法人税として「比例税率」によって最大25.5%までの税率となっています。例えば、資本金が1億円以下で、所得金額が800万円以下であれば、15%の法人税がかかります。同じ条件で所得金額が800万円を超えると、25.5%になります。ちなみに、資本金の額が1億円を超えると、所得金額がいくらであっても一律で25.5%です。

所得金額が大きくなればなるほど、法人より個人事業主の方が税金が高くなってしまうので、一定の所得がある企業は法人化する方が有利です。所得金額330万円~695万円の場合、個人事業主にかかる税率が20%で、法人税の税率が15%です。法人だからこそかかるコストもあるので、一概には言えませんが、だいたい300万円後半くらいの所得になったときに法人成りを検討してみてはいかがでしょうか。

事業所得が給与所得となり控除される

個人事業主の場合、全ての所得が個人のものになります。しかし、法人化して給与を従業員に支払うことで、事業所得と申告していた所得が給与収入となります。給与収入は、給与所得として控除を受けることができます。

条件を満たせば一定期間の消費税免除

法人は「2期前の売上が1000万円以上あれば消費税の納税義務が生じる」という規則があります。法人化して2期目までは2期前の売り上げがないので消費税が免除されます。

法人化による消費税の納税免除について
個人事業主であっても法人であっても、ある一定の条件で消費税の納税が免除されます。こちらでは、消費税免除の面から考えた法人化のおすすめのタイミングや、反対に法人化してから免除がなくなってしまうケースについて紹介しています。

相続における節税ができる

法人化することで企業の価値を株式ではかれるようになります。自分の跡継ぎへ会社を任せるときには株価を下げておくことで、贈与税の節税をすることができます。個人事業主が資産を子供に引き継ぐ場合、株価のように額を変動させることができませんし、事業をそのまま受け渡すこともできません。一度親が廃業し、子供が開業手続きをすることになります。

融資が受けやすくなる

法人化することで従業員の人数も多く、財政的にも安定しているというように見えます。そのため、融資も受けやすくなるとされています。

取引先への信頼が増す

法人化することで、今まで公表されていなかった会社の情報を謄本で確認されるようになります。取引先の会社が、こちらの会社について知ることができるので、社会的な信頼にプラスになります。また、株式会社や有限会社ということだけでも個人事業主のときよりも信頼度が増します。

法人化した時の挨拶状の書き方・例文
法人化したことで、取引先からの信頼度が高くなることがあります。また、個人事業主から法人化するというのは、事業として大きな節目となります。両者の理由から、関係のある企業や個人の方に法人化の挨拶状を送ることをおすすめします。こちらの記事では、挨拶状の書き方や例文を紹介しています。

有限責任になる

法人化することで、会社になにかあった場合、債務者の果たさなければならない責任を制限できます。これを「有限責任」といい、果たさなければならない責任の量を一定の財産または一定額に制限することができるのです。債務者に制限以上の支払いを求められたり、強制執行を受ける心配もなくなります。

企業を法人化することによって以上のようなメリットがあります。一定の所得や従業員がいる企業は、法人化をする方が得になる場合がたくさんあります。

法人化のデメリット4つ


続いて、先ほどとは反対に法人化にするデメリットをみていきましょう。

設立の際に費用がかかる

法人の会社を設立するには資本金に加え、登記関係、行政書士、司法書士への委託の依頼料等がかかります。法人化するメリットばかりを見る前に、法人化できるほどの資金があるかどうかをしっかりと確認しましょう。

法人住民税が発生する

法人化することで、法人住民税という税金を市町村役場に支払う義務が発生します。企業の1年の業績が黒字でも赤字でも7万円の支払いが発生しますので、基礎知識として覚えておきましょう。

社会保険への加入が必要

個人事業主が従業員を雇い、給与を支払っている場合、従業員が5名以下の場合は社会保険への加入が任意となっています。しかし、企業を法人化すると従業員が1人であっても給与を支払っている限り社会保険への加入が義務付けられます。さらに、従業員の保険料の半分を企業が負担ことになります。

法人化して社会保険に加入しないとどうなる?
法人化すると、社会保険に加入する義務が発生します。社会保険の加入は、社長1人でも加入しなければならないのでしょうか。また、加入に例外はないのでしょうか。こちらの記事では、法人化後の社会保険の基礎知識や、加入のメリット、加入しなかった場合のペナルティについて記載しています。

事務手続きの負担が発生する

個人事業主の場合、確定申告を自分で行っている人や税理士に依頼している人もいます。しかし、法人化することで、今まで必要のなかった法人税申告書という書類を提出する必要があります。事務手続きの負担や税理士に依頼している人は、規模や手続きが増えてしまうので税理士への報酬額が上がってしまいます。

メリットとは反対に上記のようなデメリットがあります。個人事業主は総合的に考えて、法人化することが得なのかどうか慎重に検討してみましょう。

法人化の目安・タイミング・種類


続いて、個人事業主が法人化するタイミングの目安、おすすめの企業のタイプについて説明していきます。

分岐点は利益が500万円を超える時

法人化するタイミングの目安として挙げられるのが、事業所得(企業の儲け)が500万円、あるいは年収が1000万円を超えるタイミングです。基本的にはそのタイミングで法人化することで、節税に繋がります。

設立費用を抑えるなら合同会社

「合同会社」とは、従業員全員が会社の持ち主であり、発言権をもっているというタイプの企業です。それに対し、「株式会社」は、会社の持ち主や経営者、従業員がそれぞれ違う企業です。

また、「合同会社」であれば、企業設立時にかかる法定費用を最大6万円程度まで抑えることができます。「株式会社」の場合20万円近くかかります。しかし、「合同会社」は従業員が多いほど意見がまとまらなくなりますので、家族経営などの少人数の企業向けです。

信頼性を重視するなら株式会社

大手企業やそれ以外の企業と信頼性を重視して取引をするなら、「株式会社」という一般的なタイプの企業として法人化するのがおすすめです。会社の情報は、登記にしっかりと登録されているので誰にでも閲覧することができ決算書も公告義務で確認することができるので、信頼度を高さをアピールすることができます。

以上の3つのポイントに注意しながら、個人事業主は自分の企業形態に合ったタイプとタイミングを見極める必要があります。

法人化にかかる費用は?


最後に企業を法人化するのにかかる費用についてご説明していきたいと思います。

株式会社の場合
  • 公証人手数料 50,000円
  • 定款印紙代 40,000円
  • 登録免許税 150,000円
  • 合計 240,000円
合同会社の場合
  • 定款印紙代 40,000円
  • 登録免許税 60,000円
  • 合計 100,000円

電子認証定款の場合は定款印紙代はかかりませんので、さらに費用を抑えることができます。法人化を決意する前に企業に合ったタイプを選び、なるべく費用を削減できるように工夫をしてみてください。

まとめ

ここでは、個人事業主が法人化するメリットやデメリットを中心に費用やタイミングなど、重要なポイントについてお話してきました。事業の規模が大きくなったからといって、必ずしも法人化しなければならない訳ではありません。自分の事業のスタイルや、将来ありたい状態を考えた上で、適切な形態を選びましょう。

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