フリーランスの契約書の注意点は?記載すべき9項目を徹底解説!

契約書は受注側、発注側双方の約束ごとが記載された書類です。フリーランスのために、契約書に書くべき項目や、収入印紙、印鑑の必要性などを解説していきます。受発注の間のルールとも言える契約書は、個人で働くフリーランスにとって自分の身を守る重要な書類です。ぜひポイントを抑えて、契約書作成に役立ててください。

フリーランスの契約書作成意義は?


契約書は発注側、受注側の双方権益や立場を守るためのものとご説明しました。受注側であるフリーランスにとって契約書は「業務範囲や条件を明確にする」「成果物に対する確実な報酬を得る」の2つの意義があります。

業務範囲や条件を明確にする

フリーランスが業務委託を受ける場合、どのような業務をどこまで請け負うのかを明確にするようにしましょう。例えばホームページの作成であれば、作成納品までの仕事とするのか、その後の更新や修正までを含むのかというような点を明らかにさせます。

細かい内容は別に提示される仕様書などのドキュメントを参照する場合が多いですが、その場合は別途どのような書類で合意するのかを記載すると良いです。

どのような内容を請け負いその成果物は何か、そしてその請負業務は何時から始まり何時終わるのかという業務期間と納期を明確にすることが重要です。そうすることで、当初依頼に含まれていなかったような業務をあとから追加されることは無くなりますし、仮に追加で業務が増えたとしてもそれに見合った報酬を要望することもできるようになります。

成果物に対する確実な報酬を得る

契約書には成果物に対する対価を明記することも重要です。成果物については先に記載したように業務の依頼を受ける段階でその内容を明確化させ、契約書に記載しましょう。

一般的に業務委託を受ける場合は、受ける側から「どのような作業をどれくらいの時間をかけて行うのか」について提案と見積もりを提示します。作業の提案内容が、受け取る金額の根拠になります。ですから、必要な作業を洗い出し、どのような工程で進めて行くのかについて、クライアントの合意をとっておきましょう。この際、作成に必要となる経費や交通費、場合によっては打ち合わせの回数などもあらかじめ合意するとなお良いです。

見積提示にあたっては単に金額だけを提示するのではなく、作業毎に項目を分けて見積もりを出しておきましょう。作業が短縮された場合や、増えた場合に金額で揉める可能性を低くできます。

成果物とその作業内容、見積もりを合意できたら、それらを契約書に盛り込みます。その際、支払い期日(納品後何時までに支払うのか)と支払方法(銀行口座振り込みなど)をきちんと確認するようにします。細かい話ですが振込手数料をどちらが負担するのか、税金の取扱い(対価に加えて消費税相当額を支払うなど)についても記載するようにしましょう。

契約書に盛り込むべき9項目とは?

契約日と契約期間

契約日はその契約が有効となる日付です。その日からフリーランスの仕事に対価が生じ始めるという事になります。契約期間はその契約が何時まで有効かを定めるものです。

作業を委託される場合は、いつからいつまでの作業に対価が発生するのかの認識違いでトラブルになることがあります。ですから、契約日に合わせていつまでの契約なのか契約期間を明記してクライアントと意識合わせをしましょう。

相手の連絡先

基本的なことですが、誰から仕事を受けるのかを明記します。フリーランスの場合、直接顔を合わせずにネット場で仕事を受注し、後日契約書を送付して取り交わすこともあるかもしれません。

そのような場合でも、相手の会社の所在地が正しいか、信用に足りうる相手であるのかを確認するようにしましょう。こういった最低限の確認を怠ると、対価が支払われないなどのトラブルになることがあります。相手の所在が分からなければトラブルに対応することもできなくなりますのでしっかり確認しましょう。

契約形態

フリーランスが取り交わす契約には大きく「委託契約」と「請負契約」の2つの形態があります。「委託契約」はクライアントから何かしらの作業を依頼され、その作業を行ったこと(主に時間)に対価が支払われます。「請負契約」は成果物を伴う仕事で納品した成果物に対価が支払われます。

この2つの契約形態は、対価の支払いが「時間報酬型」と「成果物型」ということ以外にも違いがあります。それは、途中解約の規定です。委託契約の場合は、クライアントが途中で業務報告を求めた場合、作業進捗や内容について報告する義務が発生するのが一般的です。

クライアント側から提示される契約書であっても、契約形態の違いは報酬にも影響しますので契約書を注意深く確認しましょう。「~を委託する。」や「~を請け負う」とい表現が含まれていることで確認することも、委託契約や請負契約の違いを見分けることができます。

3種類の業務委託「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の違いについて
業務委託には、成果物を納品する請負契約、決まった法律行為を行う委任契約、法律行為を含まない業務を行う準委任契約があります。それぞれが責任を負うべきポイントや、仕事における制限などについて解説しています。

業務範囲

契約書には引き受ける業務内容やその範囲を記載するようにしましょう。この記載が曖昧ですと、報酬は変わらないのに、後から業務を追加されてしまう可能性があります。

支払いに関する事項

報酬の支払条件を記載します。支払条件の内容としては、「誰から誰への支払なのか」、「何の対価として支払うのか」、「いくら支払うのか」、「支払時期」、「支払方法」を含めると良いです。

【誰から誰への支払なのか】
「甲は、乙に対して・・・」や「A社は、B社に対して・・・」という表現で記載されるのが一般的です。

【何の対価として支払うのか】
「請け負った業務内容」や「納品する成果物」に対しての支払であることを明記します。

【いくら支払うのか】
あらかじめ合意した金額を記載するようにします。契約書に金額を記載せずに別途合意する場合などは、「別途合意する見積もり書」や「別途合意する料金表」など、特定の書面で決めていることを明記しましょう。「相応の金額」や「別途合意する金額」という表現は曖昧過ぎるので避けるべきです。

【着手金は支払うのか】
納品を終えた後だけではなく、業務請負に着手した時に支払う「着手金」というものがあります。こちらは、案件によってある場合とない場合があります。着手金があるのかどうか、それはいくらなのか、業務が完遂されなかった場合に返還義務はあるのかなどを定めておきましょう。

【キャンセル料は支払うのか】
クライアントの都合で仕事がキャンセルされた場合、キャンセル料が発生するのかどうか決めておきましょう。例えば、2ヶ月ほどかかる仕事を受け、1ヶ月半過ぎた時点でキャンセルになった場合、1ヶ月半がタダ働きになる可能性があります。
このような事態を避けるため、キャンセル料の有無や、受け取れる条件、金額についても明記しておきましょう。

【支払時期】
いつまでに支払うのかを明確に記載します。「金融機関が休みの場合は、その前の営業日」などの注意書きもしておきましょう。

【支払方法】
「〇〇が指定する銀行口座に振り込む」など支払手段を記載します。その際手数料についての取決めなども記載しておくと良いです。

納品・検収・修正に関する事項

報酬を得るためには、クライアントとの間で合意した発注書や仕様書に沿う内容で成果物を納品し、それが検収完了される必要があります。だだし、納品基準に達していなかった場合、修正対応を要求されることがあります。

そのような対応を速やかに行うために、クライアントとの間で検収条件について定めておきます。「納品後〇日以内に内容確認を行うこと」や「納品後〇日以内に検収完了の連絡がない場合は承認されたとみなす」など、検収に関わる内容を記載します。

また、修正についても何度も依頼されることを防ぐため、修正条件を「仕様書や発注書に基づくものに限る」ことや「無料で対応する回数」を定めるなど上限を設けておくことも有効です。

瑕疵(かし)担保責任

瑕疵担保責任には、納品した成果物に対して製作者側のミスで想定外の不具合が発生した際に、一定期間以内であれば無料で修正対応に応じること明記します。その期間は90日以内に設定されるのが一般的です。

対象となる不具合は製作者側に原因があるものに限られます。クライアント側で何か変更を加えてしまっている場合瑕疵担保責任に該当しないことを明記しておきます。

著作権

著作権に関する規定には2つのタイプがあります。ひとつめは、検収され対価が支払われた段階でクライアント側に移転するタイプ。ふたつめは、納品後も製作者側にあり続けるタイプです。

写真やイラストなどの二次利用を制限したり、それらをクライアントが変更できる範囲を明確にしたりなど、著作権に関わる条件を取り決めることがあります。後々にトラブルにならないよう、曖昧にせず契約書に記載するようにしましょう。

秘密保持

業務の過程で知りえたことについて、秘密情報として取り扱うことを記載します。顧客情報などを、第三者へ教えたり、他の業務に活用しないように定めるものです。

契約書作成の注意点は?

収入印紙の貼り付けの有無を確認

契約書は同じ内容のものを2通作成し、クライアントとフリーランスがそれぞれ保管します。請負契約ではその際に収入印紙の添付が義務付けられています。

契約書を製本する場合は、契約書の差し替えを防ぐためにページのつなぎ目や収入印紙に割印をします。記載金額が1万円を超える業務委託契約書は、国が定める「課税文書」の扱いになり印紙税の納税義務が発生します。収入印紙が必要なのはそのためです。

収入印紙は契約書の作成者が負担する場合が多いですが、費用を折半することもあります。企業の慣習によって違いますのでクライアントと確認をすると良いでしょう。印紙税額については国税庁のホームページで確認することが出来ます。定期的に改定されるため業務委託契約を作成する際に確認するようにしましょう。

業務委託契約書の印紙の役割と、内容ごとの金額
業務委託契約書を作成する際、収入印紙を貼る必要があります。そもそもなぜ収入印紙が必要なのか、印紙の金額はどのように変わってくるかなどについて解説しています。業務委託契約書以外にも収入印紙が必要になる文書がありますので、あわせてこちらで確認してください。

使用する印鑑と押印箇所の確認

契約書には必ず印鑑が必要です。契約に用いられる印鑑は登記所に届け出たものが正式なものとみなされます。印鑑登録は法務局の登記所で行います。

印鑑の押印箇所について説明します。
【契印】
契約書に後で手が加えられないように、製本した契約書のページの割れ目に印鑑を押します。これが「契印」です。原則、契約当事者それぞれが押印します。袋とじにした場合は表裏の綴じ目だけ押し、それ以外は全ての綴じ目に押印します。契約書の署名捺印欄に押印した印鑑と同じものを使用します。

【消印】
契約書に貼られた印紙の再利用を防ぐために押印するのが「消印」です。「消印」は印紙に半分かかるように押印します。印鑑は双方押印する必要はなくどちらか一方のものを使います。消印は署名捺印に押印したものでなくても構いません。

【割印】
契約書は同じ内容のものを2通作成しクライアントとフリーランスがそれぞれ保管します。これに対して写しや副本を作る必要がある場合、それらに変更が後ほど加えられないように押印するのが割印です。

「割印」に用いる印鑑は署名捺印に押印したものでなくても構いません。割印専用の印鑑もありますが、なければふつうの印鑑を使用することもできます。

【訂正印】
作成後の契約書に訂正が必要な場合には手書きで修正を加えます。その際、訂正箇所は二重線でけし、訂正内容を余白に記載します。

また加筆修正を加えた旨を欄外に記載し、そのすぐそばに契約当事者双方の印鑑を押印します。これが「訂正印」です。この際用いる印鑑は署名捺印に用いたものを使用します。訂正箇所が複数ある場合はそのたびに「訂正印」を押します。

【捨て印】
「捨て印」は「訂正印」の手間を省く目的のもので、あらかじめ余白に押印しておくものです。ただし、「捨て印」が押されていると、それを後で悪用して記載内容を自由に変更出来てしまうので、押しておかない方が安全です。契約当事者間にかなりの信頼関係がある場合のみ使用しましょう。

【止め印】
契約書の書面の祭儀に余白が多くある場合、その余白が悪用されないように押印するのが「止め印」です。印鑑を押印するのではなく「以下余白」と書いても構いません。

契約書を効率的に作るには?

電子化を検討する

契約書だけでなく、見積書、請求書などの電子化が進んでいます。電子化をすれば、契約書の保管スペースが不要になるだけではなく、経年劣化も防げるうえ、紙面のやりとりよりもスピード感があります。

デメリットとしては、電子化導入のコストがかかる点と、取引先が契約書の電子化に対応していなかった時はまた紙面対応をしなくてはならない点などがあります。

無料のひな形を活用する

ここまで、契約書を作成するポイントをご説明してきましたが白紙な状態から契約書を作成するのは難しいと考える方も多いと思います。しかし、Webサイトやビジネスの本などに、たくさんの契約書のテンプレートが用意されています。説明して来た契約書の要所を押さえながら、無料のテンプレートを活用し、業務に合った契約書を作成してみてはいかがでしょうか。

一括入力ができるようにする

契約書は、基本的に、「クライアントや仕事が変わるごとに入力し直す項目」と、「基本的に変更しない項目」の2つに分かれます。前者の項目を毎回手打ちで入力していると、入力忘れや誤字が発生する原因となってしまいます。

例えば、エクセルなどのソフトを使い、「クライアント名」が入る場所を変数にします。そして、指定したセルにクライアント名を入力すると、契約書全体の「クライアント名」が入るべき場所に一括入力されるようにします。このような工夫をすることで、効率化を進めたり、記入ミスを減らしたりすることができます。

契約書なしで仕事をするとどうなる?

自分の身を守れなくなる

フリーランスとして仕事をしていく上で、クライアントから無茶な依頼をされることもあるでしょう。例えば、当初合意していた基準の成果物を納品しても、何度も無償での修正依頼をされるなどがあげられます。また、支払い予定日を過ぎても報酬が支払われないこともあるかもしれません。

このような時のために、契約書ではあらかじめ修正対応の上限や報酬のルールなどを定めています。しかし、契約書がないと、いくら不誠実に感じても、法的にこちらの正当さを示すことが難しくなってきます。

健全なビジネス関係が作りにくくなる

契約書がなくて不利益を被るリスクがあるのは、クライアントも同じです。親しい間柄であっても、ビジネスの関係を結ぶ以上、健全なやりとりのために契約書は必須となります。

まとめ

フリーランスにとっての契約書の必要性、作成する際のポイントなどについてご紹介してきました。契約書には記載事項が多く、堅い言葉を使うこともあり、面倒に感じることもあるかもしれません。しかし、個人で仕事をするフリーランスにとって、自分の身を守ることのできる契約書はとても重要と言えます。

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