「頂戴する」って正しいの?正しい敬語の使い方

  • 2017-8-29

ビジネスの場においては、丁寧な言葉遣い、相手を敬う言葉を使うことが求められます。 ただ、「丁寧にしよう!」と思うあまり、日本語の言い回しとしておかしい言葉遣いになっていることも……。 ここでは、やってしまいがちな「正しくない敬語の使い方」について見ていきましょう。 今回取り上げるのは、「頂戴する」という言い回しについてです。

「頂戴する」という言い回しについて


「頂戴する」という言い回しは、ビジネスの場において、しばしば使われるものです。もっともなじみ深いのは、「お名前を頂戴する」という言い回しなのではないでしょうか。しかし実はこの「お名前を頂戴する」は誤っている表現なのです。

「頂戴」という言葉は、「もらう」を丁寧にした言い回しです。主に物品のやりとりに使われる言葉になります。
「お名前を頂戴する」という言い回しは、敬語を除いて言うと、「名前をもらう」になります。名前というのは、人に譲渡できるものではありません。このため、この言い回しは間違っている、ということになるのです。

正しく言い換えるにはどうすればいいの?


では、「お名前を頂戴する」という言い方を正しく言うにはどうしたらよいのでしょうか。

正解は、

  • 「お名前をお聞かせください」
  • 「お名前をお教えください」

です。

ただ、やや慣習的な言い回しではありますが、以下のような言い回しもよく使われます。一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

  • 「お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」
  • 「お名前をお聞かせいただけませんか」
  • 「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
  • 「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
  • 「お名前をお教えいただけますでしょうか」

断定と疑問、2つの言い回しの違いについて


後者の「お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」などの言い回しは、「お名前をお聞かせください」などよりも、柔らかい表現であることがわかるはずです。

名前を教えるのも教えないのもあなたの判断にゆだねます、という意味を含むからです。ビジネスの場において、「お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」と聞かれて「嫌です」と言われることはまったくと言ってもよいほどないでしょう。特に、企業間でのやりとりの場合はなおさらです。

ただ、お客様からのクレームやご意見を電話で受けたとき、あるいは企業間でのやりとりの場合でも相手が名乗らずに(もしくは「○○部署です」とだけ言い、個人名を言わなかった場合など)話し始めた場合などは、利用価値の高いフレーズだと言えるでしょう。

「頂戴致します 」「お伺いします」は正しいのか?


資料などの受け渡しの際には、「頂戴します」という表現は問題がありません。

しかしこの時、丁寧な言葉遣いをしようとして、「頂戴致します」のような表現を使ってしまう、という人は意外と多いものです。
しかし実はこの言葉遣いは、正しい言い回しではないのです。

「頂戴する」というのは、「もらう」の謙譲語にあたる言葉です。また「致します」も同じように謙譲語にあたる言い回しです。

このため、この言い回しは、1つの動作に対して2つの敬語(謙譲語)を使っていることになり、二重敬語にあたるのです。

二重敬語はその昔、「敬語を使うべき相手(貴族など)よりもさらに地位が上の人(天皇など)に対しての言葉」として使われていました。しかし現在のビジネスの場においては、この二重敬語は過剰な丁寧語、場面にそぐわない言い回しとされ、使用を避けるべきだと考えられています。

ちなみに、上で挙げた「お伺いしてもよろしいでしょうか」も、本当は二重敬語にあたります。丁寧語である「お」と、謙譲語である「伺い(伺う)」の組み合わせだからです。しかしこれに関しては、文化審議会答申のなかで、「慣習的に使われている表現である」とされ、現在では誤用とまでは言われないようになりました。

あなたは気づいた? もう1つの間違い


さて、上では二重敬語による誤用を問題としました。しかし実は上の文章にもまた、避けるべき表現が入っていたことを気付きましたか?

実は、「致します」という言い回しは、上のような文脈で使うときは、漢字では書かないのが正しいのです。

これは少し専門的な話ですが、このような言い回しは、「補助動詞」に値するものです。補助動詞というのは、謙譲語や尊敬語、丁寧語を指す言葉です。たとえば、丁寧語の代表である「ください」もそうですね。

これらの補助動詞は、実際の動作を示す言葉ではなく、ほかの言葉を丁寧に言うために存在する言葉です。このような意味合いで使われる場合は、漢字表記ではなく、ひらがなで書くのが正しいのです。

「お名前を頂戴する」という言葉の言い回しは、日本語的な解釈から考えるのであればおかしいものです。
「お名前をお聞かせください」「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」などの表現を使いましょう。

まとめ

ただ、言葉にするときに多少言い回しが違ったとしても、大きな問題になることはないでしょう。ただ、書き言葉として使うときは気にしたいものですし、自然に「正しい言い回し」ができる人というのは魅力的に見えるものです。気をつけていないと、つい使ってしまいそうな表現が多かったかと思います。この記事を参考に正しい敬語の使い方を意識してみてください。

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