リストラクチャリングとは?意味や事例をわかりやすく解説

リストラクチャリングという言葉、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。リストラというと、解雇などマイナスイメージが浮かびます。しかし、本来の意味は少し異なります。本来の意味や、違いについて見ていきましょう。

リストラクチャリングとは

英語訳は?

リストラクチャリングの正式な英語は、「restructuring」です。意味は(事業の)再構築、構造改革となります。

事業を再構築、事業構造する事

企業が、事業の成熟化や業績不振など、環境の変化に対応するために、大幅な改革を伴って企業の構造を変えていくことです。企業の成長を維持し、成長戦略を実現するために、不採算部門の縮小や撤退、事業所の統合・閉鎖、本社・事業部・工場の分離・分社化などの不採算事業の整理を行うことを意味し、M&A(企業の合併・買収)もそのひとつとされます。

広義には根本的再構成の事

広義には政治、経済、社会全体を再構築すること、つまり根本的再構成のことをいいます。

旧ソ連のゴルバチョフ大統領が提唱・実践したことで知られるペレストロイカは、その典型といえます。ペレストロイカ=perestroikaとは、再構築・建て直しという意味で、その英訳はリストラクチャリング=restructuringとなります。

日本ではリストラと呼ばれている

リストラクチャリングは、日本では省略して「リストラ」と呼ばれるのが一般的です。

日本では事業整理・人員整理が一般化

日本ではバブル崩壊後、不採算事業の整理・縮小などのために、従業員解雇(特に整理解雇)が行われることが多く、リストラという言葉も一般的な用語として認識されるようになりました。そのため、不採算事業の撤退や縮小に伴い行われるリストラ=事業整理・人員削減といったネガティブな印象が色濃くなっており、事業の再構築などの本来の意味でのリストラとは分けて使われることが多くなっています。

類語リエンジニアリングとの違いは?

リエンジニアリングとは

1990年代に、アメリカ産業界で企業経営の立て直し策として生まれた考え方のことで、既存の業務・組織・戦略を抜本的に見直し、変更することをいいます。つまり、現状を分析して改善するのではなく、これまでの仕事のやり方や進め方などのルールを一度破棄し、根本的に改革をして企業の競争力の回復を図ろうとするものです。

リストラクチャリングとの違い

リストラクチャリング リエンジニアリング
手段 事業構造の見直し 業務・組織を根本的に改革
度合い 部分的な改善 根本的に見直し
焦点 改善 変革・変更
対象 主に不採算部門など 業務・組織・戦略全般
合理化 部分効率化・人員削減 結果的に人員削減

類語クレジットイベントとの関係

クレジットイベントとは

日本では「信用事由」とも呼ばれており、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS取引)など、クレジットデリバティブにおいて使われる用語です。国や企業などの組織が引き起こす債務不履行・条件変更・倒産や破産など、対象となる債務履行に際して、支障をきたす恐れがある行為や、問題につながる行為・事象(イベント)のことを指します。

クレジットイベントの一つがリストラ

リストラ(=債務の条件変更)は、クレジットイベントの一つであり、その他の主なクレジットイベントには支払不履行、破産などがあります。

リストラの事例

大手電機メーカー1の場合

薄型テレビ開発など、プラズマテレビ事業の失敗により多額の損失を計上し、事業継続も危ぶまれる危機打開のため、抜本的なリストラに着手しました。

プラズマディスプレイ開発からの撤退、中国やメキシコといった生産拠点の主力工場を閉鎖、半導体工場などの売却も積極的に行い、国内のスマートフォン事業からも撤退しました。

また、これまでの事業スタイルを改め、企業間取引をメインとした主力事業のシフトを見事に成功させるなど、15年3月期には企業全体として大幅な黒字計上となり、リストラクチャリング(=事業再構築)の成功例の一つといえます。

大手電機メーカー2の場合

他電機メーカーと同時期に赤字に苦しみ、約1万人の人員削減と生産拠点の縮小などをメインとしたリストラに着手しましたが、見通しと対応策が甘く、2015年3月期では多額の赤字計上となりました。結果、リストラ策の見直しを迫られることになったのです。

これを受け、全事業の分社化と、聖域なき構造改革を宣言した中期計画では削減の効果が表れ、営業利益で200億円の黒字を確保する見通しに漕ぎつけるなどしましたが、依然道半ばであり、再構築の途中にいるといえます。

大手電機メーカー3の場合

他電機メーカーと時期を同じくして大幅な赤字を計上しました。早期退職制度による人員削減や、韓国最大の総合家電メーカーからの出資による液晶分野の業務提携などのリストラ策を展開しました。

矢先の急激な円安傾向もあり、業績は黒字に転じ、一旦は大事に至らずに済んだように見えましたが、液晶部門を中心とした事業の見通しが甘くなりました。競争環境の苦しい液晶部門にこだわり続けたことがきっかけで、再び2000億円以上の赤字を計上してしまったのです。

事業再構築の入り口で足踏みをしており、現在も苦境に立たたされているといえます。

まとめ

リストラと聞くと、一般的に、企業再構築に伴う人員削減というマイナスイメージで認識されている言葉ですが、ビジネスの場での本来の意味は削減ではなく、「組織の再構築」です。激変する経営環境の中、環境・市場の変化に迅速かつスピーディに対応していかなければ企業は存続できません。企業が成長を続けるために必要な、言わば「新陳代謝」のようなものといえます。

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